田原町薬局 東京都台東区

フリー薬剤師.comでは、夢を追いかけている薬剤師・薬学生を応援しています。
また、夢を持つ薬剤師を応援する薬局経営者も紹介をしていきたいと考えています。
志の高い薬局を中心に、素敵な薬剤師になれる。人としての成長ができる。そんな薬局をフリー薬剤師.comでは
インタビュー形式で紹介をしていきます。
共感・共鳴できた薬局には勇気をもって一歩踏み出してみてください。小さな一歩が人生を変えるきっかけになると思います。今回、東京都台東区にある”田原町薬局”の経営者”小嶋夕希子”さんに取材しましたので、夢を叶えたい薬剤師さんにとって素敵な薬局と感じて頂けたら嬉しいです。


―――――田原町薬局さんはどんな薬局か、お聞かせ下さい。
詳しい経緯についてお話すると長くなってしまうので省きますが(笑)、医薬分業開始の時に薬剤師会の先生たちが協力して立ち上げた歴史ある薬局を紆余曲折がありまして受け継ぐことになりました。地域にはなくてはならない薬局なんです。詳しく聞きたい方は、ぜひ薬局にいらしてくださいね(笑)

―――――小嶋さんの地元は浅草なんですか?
夫の実家が両国にありますが、私は横須賀の出身で、地元とかでは全くないんですよ。

―――――薬局に御神酒があったりして、ちゃきちゃきな江戸っ子とお見受けしました(笑)そういうことをちゃんと大事にされているんだなって。
そうなんです、心は江戸っ子ですよ(笑)地元の方がすごく優しくしてくださるので、どんどん浅草が好きになっていきます。

―――――ということは、近所の方が来てくださることが多いですか?

そうですね。近所の方とあとは私のことを信頼して下さっているお客様が遠方からいらっしゃるっていうのがこの薬局の特徴なのかな。ここの薬局もほぼ30年もあるので、一つの病院から患者さんが来ているというよりは半分以上はいろんなところから来ている、いわゆる面薬局ですね。

―――――遠方ということですが、だいぶ遠くからいらっしゃるのですか?

そうですね。そういう方はやっぱりたまにしか来られないんですけど、福島の方とか鹿児島の方とか甲府とか。処方箋があったりなかったりはするんですけど、遠方から小嶋さんに会いたいって言ってきてくださる。それでたまたま処方箋があったというだけなんですけどね(笑)

―――――それだけいろいろなところから処方箋が来ると薬がなかったりしませんか?

ない場合は、薬は後で送ります。
あと、1日1回は処方箋を持たない近所の人が遊びに来ますね(笑)

―――――ここに30年前からずっとあった薬局だとするとご家族2代3代で来ているということもありそうですね。

それはありますね、やっぱり。今もひいおばあちゃん、おばあちゃん、娘、で子供を連れてきたりという風に、ご家族のみなさんで来ていただいているということもありますね。

―――――先程も言っていましたが、地域にとってなくてはならない場所で、それを今も守り続けているんですね。

そうですね、インフラですね。ここをやりたいなと思った一番の理由はそこです。以前から、そういう薬局をやりたかったっていう気持ちがありました。ただ、やっぱり新規でそういう薬局を作るのってめちゃくちゃ大変なんですよ。まず地域に根付くというのは時間がかかりますよね。しかも面の薬局をやりたかったんです。でも面の薬局にすることがどれだけ大変か知っているのでやっぱり・・・。目の前の病院以外の処方箋を獲得していくのもまた時間がかかるし、できれば最初からそういう薬局を引き継ぐ事ができればなと考えていました。

―――――30年の歴史を引き継ぐ時にプレッシャーとか感じませんでしたか?

最初はめちゃくちゃありました・・・、浅草の人たちって好き嫌いがはっきりしているので。そういう好き嫌いって下町独特のもので、それを私の夫の実家が浅草下町の家なのでそういうのをすごく聞いていて、とても心配していました。なので、やっぱり最初の一年は来ていただいていたお客様が離れないことだけを考えようと思っていましたね。お薬も最初は不足が出ちゃったりとかして、「何で無いの?いつも来ていたのに」ってなるじゃないですか。それを2回目以降は絶対にやらないとか、お得意様のお薬は全部用意しておいて、すぐ出せるようにしておくことなどを心掛けていました。とにかくそこがやっぱり最初はプレッシャーで・・・。まぁ、どうにかこうにか1年は経ったのでこれからようやく新規の顧客をどう取っていくかを考えようかなというところです。でも何にもやってないです。チラシも撒いてないし、旗も出してないし(笑)

―――――人情が熱い街なんですね。

そうですね。すごくそう感じます。

―――――これから新規の展開をされていくということですが、注力されている取り組みについてお聞かせください。

1つは今も少しやっている在宅医療ですね。私もまだまだ勉強不足ですが、薬についてじゃなく行政とかの福祉関係での困りごとを患者さんから相談されることがあります。やっぱり相談できる相手がいないから私に言ってくださるというのもあるので、そこをもっとサポートできるような体制を作りたいですね。
その相談というのは、すごく人としてのところなんです。行政にお願いすれば終わるようなことじゃなくて、家族の問題ですとか。独居の老人も多く、そうでなくても家族の不仲があって放置されている老人とかそういうお客様が多いんです。なぜか分かりませんがうちの在宅のお客様って、いわゆるガンで自宅療養していてというお客様は一人もいなくて・・・。うちは本当に何でこうなっちゃうのかなっていうような、ご家族が見放してはいないんだけどご家族との関係がうまくいってなくて一人で管理できなくて相談に来られるということがよくあります。あとは二人とも認知症のご夫婦が多いので・・・。誰かに任せて解決できるならいいんですけど、もうどうしようもないんですよね。毎日行って飲ませるしか手はないみたいな状況です。訪看の人と1日ごとに行って薬を飲ませたりするなど、いろんなイレギュラーを目の当たりにして、やっぱりどうしていけばいいのかなと日々考えています。やるのは簡単なんですけど、やっちゃうとそれはそれでそこが点数とか経営的な数字には反映されないので考えなければいけないことのひとつです。私がやっちゃうと私の後に入った人も続けなきゃいけないし、それこそ私が今、薬局の開業について若手の子たちに教えているんですけど、やっぱり自分の時間を削ってまでやれとは言えないですよね。そこが課題ですね・・・、うちのお客様のことは大好きなので力になりたいし、頼まれたらやっちゃうんですけど(笑)

―――――でも、小嶋さんができることにも限りはありますよね。

はい、これから子供も欲しいなと考えているので、産休や子育ての事を考えると薬局の体制作りは重要だと考えています。

―――――お話の中で若手の方に開業について教えているというのがありましたが?

はい、「お客様と薬剤師との出逢いを創る」というのがうちの会社のミッションというか理念として掲げていて、お客様と出会う場創りということの事業の一つに薬局の経営があるんですね。出逢ってほしい薬剤師さん、“ひとづくり”というところで人材教育をしていてそこの一つが独立開局成功塾っていう塾の東京校の講師をさせていただいています。フリー薬剤師.comの井上さんがきっかけで知り合った滋賀のケイファーマという会社の加納社長という方がいまして一緒にやらせていただいています。フロントセミナーとして東京、大阪とあと今年からは博多の九州の方に進出します。

―――――そんなにお忙しいと、いつ寝ているんですか?

あはははは。でもすごいコミュニティが増えてきてみんなうちの塾生たちは開業していって頑張っているので、私だけそんなことは言っていられません。もちろん、きちんと休養も取りますけどね(笑)

今、取り組んでいるのは開業塾と、それとは別にまだクライアントはお一人ですけど、起業支援をしています。というのも、私自身がもともと薬剤師としてではなく違うビジネスで起業していたというのが根本にあるのだと思います。そこで得た経験や人脈にすごく学ばせていただいたことが多かったので、保険収入だ、薬局だ、病院だとか、そういうことじゃなくて何のために命を使うのかとか、何のために仕事をしているのかとかをもっとちゃんと考えてほしいんですよね。
その中の選択肢の一つとして、フリー薬剤師.comで提唱しているフリー薬剤師もそうですが、何かの組織に入ってやる以外のことを自分で何か価値を創り出して、それを提供していく存在になる薬剤師を創っていきたいです。なかなか難しいこととは分かっていますが、実現していきたいです。元々は薬剤師だけを集めてそういうビジネスをやろうと思っていたんですが、それだと本当に視野が狭くなってしまって、ダメだなと気がついたんです。私が以前からお世話になっていた起業塾に、独立開局成功塾のメンバーの一人がぜひ参加したいということで一緒に行ったことがあるのですが、その彼がすごく参加して良かった、いろいろな人の意見と自分の視野の狭さがすごく分かったとすごく感謝されて、それで薬剤師に対してだけやっていても仕方ないなと思いました。改めてどうしたいかを考えた時にもう完全に私はそっちのビジネスコンサルタントという肩書きも持って薬剤師を支援すること、薬剤師の方がいつでも参加できるような起業塾という場を創っていこうと思いました。私の師匠は神棚に鎮座されている愛のケツバット・吉川聖弓っていうちょっと巷では有名な経営コンサルタントなんですけど、彼女がやっている起業支援の事業とも事業提携をしているので、それを活かしていきたいと考えています。

―――――お忙しいのでどなたかに薬局をお願いすることもあるようですが、お願いするということは小嶋さんのカラーが薄まってしまうのではないですか?

最近すごくそこの考えが変わって、最初はやっぱりよくあることなんですけど、私のキャラが濃いというか「小嶋さんの薬局」っていう形になっちゃうじゃないですか、どうしても。私が抜けることによってどんな変化が起こるのかなとすごく思っていたんですよ。それで私がいないことによっていつも来ているお客様が来なくなるとかそういう風になるのかなと思っていたんですけど、私がお願いする人たちって基本的に私が信頼している人で、ここでやってもお客様とちゃんと楽しくお話をしてくださるような人を選んでいたら、私以外の人たちに患者様が私の話をしてくれたり、そのお客様と他のスタッフが仲良くなったりとかなんか雰囲気が逆に良くなってきているんですよね。確かに私がいないの?みたいな話になることもあるんですけど、お客様にこの間いた男性の薬剤師さんにこういうことを教えてもらったの、本当にありがとうって伝えておいてって言われたりすることもありました。入口管理、誰を入れるかってすごく大事なことだとは思うんですけど、自分がこの人なら大丈夫だなっていう人を選べばそんなに色って、その小嶋カラーは薄れないんだなって最近痛感しました。それこそ週に1回しか来ない女性の薬剤師さんがいるんですけど、彼女は彼女で彼女のファンをここで作ってくれて、いつも元気なあの子は今日休みなのね・・・みたいな感じで言ってもらったりしています。

―――――やっぱり、人が大事ですね。

そうそう。確かに誰でも彼でも入れ替わり立ち代わりのバイトさんだとダメだなと思うんですけど、私が好きな人を入れればいいんだなみたいな。

―――――患者さんをお客様と呼ぶんですね。

そうですね。うちはお客様ですね。なんか私嫌いなんですよ、患者とか健康とかって言葉が。健康って何だと思った時に、病気を持たれていて頑張っている人たちが健康じゃないのかと思ってしまうんです。みんな言葉の定義をそれぞれ持たれているから別に私が言っていることが正しいというわけではありませんけどね。

―――――お客様という言葉から商売を連想してしまうので、あえて患者様と言っている薬局もあるかもしれないですね。

そうです、そうです。私が正しいわけではないんですけど、私はやっぱりお客様かな。

―――――小嶋さんのところにいらしたお客様という感じですね。それはそれぞれで良いですね。

そうですね。お大事にって言うのも嫌いなんです。だから私はお客様が帰る時はありがとうございますって言っています。そりゃインフルエンザでフラフラの人にはお大事にして下さいと言いますし、空気は読むんですよ。すごくつらい人にありがとうございましたっていうとちょっと気分悪いですからね、それはわきまえていますけど(笑)やっぱり数ある薬局の中から選択肢はお客様にあるんであえてうちに来てくださっている、しかも面薬局で目の前の病院でもないのに処方せんを持ってきて下さっているのでそれはありがとうございますっていう気持ちでいるんです。

―――――薬剤師としての理念、ご自身の強み、そしてもう一つ追加で経営者としての理念をお聞かせ下さい。

やっぱり、「お客様と薬剤師の出逢いを創る」という言葉に本当にすべてが集約されています。私自身が21歳の時に母親の介護と看取りをしたという経験があって・・・。ガンだったんですけど、母の闘病を支えるために私は大学を中退して、一度社会に出ました。闘病と介護をしながら職場と家と病院の間を何度も行き来していました。その時の私は薬剤師さんに出逢わなかったんですね。すったもんだの末に薬剤師になった理由なんですけど、生活のためであったり、いろんな理由があって薬剤師になったんですけど・・・。でも、薬剤師ってすごく素敵な方が多いんですよ。みんな勤勉だし、基本的にみんな患者さんのために一生懸命なんですよ。休みに日に研修とか勉強会に行ったりして勉強もするし、頑張っている人たちなんです。なのになんでうちの母娘と出逢ってくれなかったの?という思いがあります。しょうもないことでたくさん苦労したんですよ。薬のこと一つにしても腫瘍が頭に転移していたので頭が痛い、頭が痛いとすごく言っていました。開頭手術をしたのですが、その後の後遺症でせん妄といって幻覚を見たりもしていたようです。後で振り返って私が何を思ったかというと、何でこの人たちは人を救う力だったり、当時の私や母の力になってくれるだけの知識とか技術とかノウハウだったり、経験だったり、いっぱいあるのに何で私たちに力を貸してくれなかったのということで、そのことをすごく疑問に思ったことが原点なんです。そこからどうしたら私は彼らの力を借りることができたのかと考えると、そもそも出逢ってないんですよね。10年も前なので今といろいろ違うかもしれないですけど、そもそもかかりつけの薬局すらなかったし、そもそも薬剤師がどこまでできるかなんて知らなかったし・・・。重要なのは、そこかなって思って。私の薬剤師としての理念もそうだし会社の理念も事業の軸っていうのも全部そこに集約されているんです。要は患者さんとそのご家族には、薬剤師がそれだけのことをできうる力を持った職業の人たちなんだっていうことを知ってほしいし、もっと使って欲しいなということなんです。一方で薬剤師には、勉強したり自分のことを磨くことは素晴らしいことだし、プロとしてやらなければいけないことだけど、もうちょっと発信であったり自分たちのこと知ってもらう努力をしないと宝の持ち腐れだろという気持ちがありますね。

―――――未来の薬剤師としてもっと変わっていく必要があると思うんですけど、どういう人がこれから活躍できると思いますか?

ちゃんと自分の頭で考えられる人じゃないですかね。

―――――考えていない人が多いですか?

考えてない人は大多数です。

―――――判断したくない、責任を持ちたくないという気持ちなのでしょうか。管理薬剤師にはなりなくないという方も多いですしね。

そう。業界的に、例えば今回の診療報酬の改定もそうですけど国がこっち向けあっち向けって言ったらそれに従わなきゃいけないことが確かにあるんですよ。保険診療だって国が50点と言ったら50点だし。勝手に自分たちで考えて自分は60点の価値を提供しているから60点だというふうにはできないのは確かだし、ドクターの処方ありきの仕事なので自分たちで考えてどうこうするっていう機会って実は業務上そこまで無いっていうのは確かにあるんですけど。それにしたってもうちょっと考えろよっていう(笑)例えば、患者さんの立場から医療を良くしようと活動されている鈴木信行さんていう人が仰っているんですけど、毎食後っていう薬が出ているとして、その人が1日3回ご飯を食べるか聞いたかっていう・・・。そういうことなんですよ、別に普通に考えたら聞くじゃないですか。毎食後って言ってももしかしたら2食しか食べていないかもしれないし。眠剤が出たとしても寝る前って何時か聞いたかって言うね、夜職の人だったら昼に寝ているかもしれないということとか、そういうのを考えられないんです。やっぱり処方箋どおりに出すっていうことに終始しているのかな。昔はもしかしたら考えられたのかもしれないけど日々の業務の中でどんどんどんどん慣れてしまっているというのもあるのかもしれません。

―――――保険調剤はそういうものですね。ルールは薬剤師で決められないですよね。

そうですね。

―――――でも、薬剤師自身で決められることもあるんじゃないですか?

結局はその保険の点数が国に決められているってそれはしょうがないことなんですけど、それ以外の事をやっちゃいけないかって言うと別に誰もダメって言ってないわけですよ。それこそ今はもしかしたら無料でやっているかもしれないけど、カウンセリングとか健康相談でちゃんと価値を提供できているんだったら別にお金を取ったっていいと私は思っているんですね。それに時間を割いているんだから当然だと思うんです。でもそういうことはやらないというか、やりたがらない薬剤師が多いように感じます。他のビジネスを経験してこっちの業界に入るともっとお金を取ればいいのにって思うことが多くあります。お金を取らないことによって自分たちの社会的な価値が下がってしまっていることに気づいていないんですよね。何でも無料でやればいいってもんじゃないです、結局は自分たちの首を絞めていることに早く気がついてほしいですね。

―――――もっともっと薬剤師さんたちが表舞台に出るような形になったらいいですよね。メディアとかテレビだとか。

それが出ない・・・(笑)

―――――見たことないですね。管理栄養士の方などは結構出てきていますね。

今、メディアとか表舞台に出ている人たちって、極論マーケティングをやっている方が多い印象ですね。

―――――確かに。

薬が害だとか。いますよね、ドクターでも。本質的なところでちゃんと発信をしている人は少なかったり、発信しているよ、ブログを書いているよって言っても、そのブログ何PVだって話じゃないですか。多くの方に届いてなんぼでしょうっていう。好き勝手なこと書いてそれで俺はやっているぞみたいな(笑)

私自身も、これからもきちんと裏付けのある情報や会社の理念、薬剤師としての活動などをどんどん発信していきたいと思います。そして、しっかりと自分たちのことを発信できる若手を育成することで「お客様と薬剤師との出逢いを創る」という想いを実現していきたいです。


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