くぬぎだ薬局 東京都八王子市

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また、夢を持つ薬剤師を応援する薬局経営者も紹介をしていきたいと考えています。
志の高い薬局を中心に、素敵な薬剤師になれる。人としての成長ができる。そんな薬局をフリー薬剤師.comでは
インタビュー形式で紹介をしていきます。
共感・共鳴できた薬局には勇気をもって一歩踏み出してみてください。小さな一歩が人生を変えるきっかけになると思います。今回、東京都八王子市にある”くぬぎだ薬局”の経営者”梅原昌宏”さんに取材しましたので、夢を叶えたい薬剤師さんにとって素敵な薬局と感じて頂けたら嬉しいです。


―――――くぬぎだ薬局様の取り組みについてお聞きしたいのですが、どんな薬局かお話をお聞かせいただけますか?
薬局としてはいわゆる町の薬局っていう感じですね。1日あたりの患者さんは多くても30~40人ですので、ほのぼのと本当に町の薬局っていう感じでやっています。薬剤師は僕以外に二人と事務の二人でシフトを回しています。一人薬剤師の時間も多い小さな薬局です。これまでの取り組みとしては、減塩料理教室を何回か行いました。これは予防医療を目的として、患者さんが服用する薬をできれば減らしていけるようにということで、管理栄養士さんにお願いして開催しました。参加者は患者さんをはじめとして他にも地域の方々に来ていただきました。そしてみんなで楽しみながら勉強する良い機会となりました。

それと僕自身、血友病という病気があるのですが、この経験をもとに障がいのある子どもたちに対する活動も行っています。血友病とは止血するための遺伝子が先天的に欠損している病気なのですが、関節内に出血を繰り返してしまうため、小さいときは運動を禁止されていました。そのため体育の授業や運動会などには参加することが出来ずとても寂しい思いをし、自分自身に対する自信を失ったこともあります。そのような経験もあったので障がいのある子どもたちには自信を持って成長してもらいたいと思い、ボッチャという障がい者スポーツのチームを作っています。

ボッチャというスポーツは、車椅子でも出来るボールを使った競技で、カーリングみたいなルールで行うスポーツです。パラリンピックの公式スポーツにもなっていて2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックでは、日本は銀メダルを獲得しました。そのようなフィールドでのチームを支援するために薬局もCSR活動として頑張っています。

―――――先程ほのぼのとおっしゃいましたけど結構忙しそうですね?
僕個人は忙しいかもしれないです(笑)でも楽しみながらやってるので。

―――――ご来局される患者さん、地域の特徴はどういった感じなのですか?
八王子は東京郊外の方なのですが、薬局は八王子の中でも中心部からちょっと離れているエリアです。昔からずっとここ住まわれてきたような地元の方々が多いエリアですね。近年は薬局の前にマンションや新しい住宅が出来てきたので30代40代のご家族の方なんかも比較的増えているエリアです。ただ薬局に来られる患者さんはやっぱり地元のおじいちゃんおばあちゃんが多いので、結構ゆったりとした時間の流れというか、せかせかしない穏やかな感じですね。

―――――めじろ台駅は初めて降りた駅だったのですが、バス停の前に学生レーン、一般レーンってあって学生さんがブワーッと並んでいたのですが、学校が近くにあるのですか?
近隣に法政大学をはじめ他にもいくつか大学や専門学校、高専などがあるので若い方々も結構いらっしゃいますね。

―――――今一番注力されている取り組み、またはこれから取り組みをされようとしていることで構わないのですが、具体的にどういった展開をしようとされているか教えていただけますか?
先ほどもお話ししたボッチャチームの活動があるのでそれをより積極的にサポートしていきたいと思っています。薬局としての活動としては、ドーピング防止といった面ですね。そして学生さんなど若い方も住まわれているので、お薬のお渡し時にドーピングの相談をされることもあります。そのようなときに今までは薬剤師の一般的な知識でしか接することが出来なかったのですが、もう一歩進んだアドバイスをしていきたいと思っています。最近ではスポーツファーマシストなどの資格もあるので、自分自身もっと勉強して薬局としての機能を確立していきたいと考えています。

―――――お薬の中にも摂ってはいけない成分もあるのですね。
そうですね。風邪薬なんかもそうですし。薬剤師であれば怪しそうな成分はある程度推測はつきますが、一般の方であれば筋肉増強剤でもない風邪薬が本当にドーピングに影響するのか?と思われます。実際に風邪をひいて少し咳などが出た時に、試合を控えていた場合、すぐに治したいからといって薬を服用し、それがひっかかってしまうという事例があります。うっかりドーピングって言うのですが、そのようなことが起きないようにサポートしたり情報発信していきたいなと思っています。
あとボッチャのチームは、発足したばかりなのでまだこれからなのですが、将来的にはパラリンピックにも出場したいというチームの夢もあります。そのようなときにはもちろんのこと、そこに到達する前からドーピングの知識は必要となります。さらに障がいをお持ちの方などは何らかの薬を使っていることが多いので、一般の方々よりもしっかりとしたサポートが必要なのかなって考えています。

―――――ボッチャはどういうスポーツですか?
公式試合であれば赤チーム3人と青チーム3人に分かれ、コートは6×12.5mの広さで体育館などで行います。先攻、後攻に分かれて先行がジャックボールという目標となる白い球をコートの中に投げます。そしてジャックボールをめがけて持ち球を交互に投げ、最終的により近くに持ち球を置いたチームが勝ちとなるカーリングとよく似た競技です。カーリングであればハウスと呼ばれる同心円のマークがありますが、そのマークの代わりにジャックボールを投げます。ボールなので場合によっては目標が動いたりするのでそれも考えて試合を運んでいく必要があります。ルールもカーリングととても似ていますが、相手のボールを跳ね飛ばしたり、飛び越えさせたりといった技もあり頭と体を使うスポーツです。

―――――目標となる白い球を投げるというところは駆け引きですよね。
そうですね。相手の選手は遠いところまたは近いところに投球するのが苦手なのか得意なのか、また自分たちのチームはどうなのかなどを見極めてそこに向かって投球するといった戦略を立てる必要もあります。

―――――障がいの度合いによって何か変わったりしますか?
公式の試合では障がいの度合いによってクラス分けがされますが、レクリエーションとして行う場合は、みんな一緒になって楽しむこともできます。また、障がい者でなくても気軽に楽しむことのできるスポーツなので、健康増進のためにご年配の方も参加していただいています。

―――――見所というかせめぎ合いの所のボッチャの魅力はどこですか?
やはりカーリングと同じで戦略の立て方によって試合の流れが変わるところですね。お互いの投球状況により展開はつぎつぎと変化しますし、その中でお互いの駆け引きもあるところが面白いですね。
また、見ているだけだと転がしているようにしか見えないかもしれませんが、いざやってみるとなかなか思うように投球できなかったりすることも多くてそれもまた楽しみのひとつなのではないでしょうか。

―――――今、ボッチャの競技人口はどのくらいですか?
何人でしょう?数は把握してないのですが、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックでは日本代表チームは銀メダルを獲りました。それからというもの結構ブームが起きて、私たちみたいにチームとかサークルを作ったりする方も増えているみたいですよ。それに伴って競技器具の一部が入手困難になったりしている状況もあるようです。

―――――発祥は日本ですか?
発祥はヨーロッパですね。

―――――一般の方も障がいのある方も一緒に体験できる場というのは結構たくさんあるのでしょうか。
増えてきているかと思いますが、まだまだ多くはないのかな。私たちは月1回市内の体育館を借りて練習しているのですが、障がいの有無に関係なく来ていただいています。今回の記事をお読みの方で興味のある方がいらっしゃれば一緒にやっていただきければ嬉しいです。

―――――街の薬局でもいきなり選手が来る可能性もありますよね。スポーツファーマシストじゃなくても対応しないといけない場面もあるかもしれませんね。
これから東京オリンピックも開催されるのでそのような機会も増えるかもしれませんので、街の薬局薬剤師も最低限の知識を付けていく必要があるのかなと思います。

―――――そういう活動を地域の皆さんにもっと知って活用していただきたいですよね。
そうですね。ここの薬局がサポート出来るというのを知っていただきたいです。まだ準備が必要ですが、しっかりした情報を発信して地域の方々にも来ていただけるようにしたいと思います。

―――――くぬぎだ薬局様は何年目になるのですか?
私は2014年にこの薬局を買い取ったのですが、前のオーナーが作ってからは20年近く経っていると思います。
もともと私は前のオーナーのもとで勤務薬剤師として働いていましたが、2008年にMBAの取得を目指して辞めました。その後2010年にMBAを取得し、セミナーやコンサルティングを行う会社を作って活動していました。そして2014年の夏に前のオーナーから連絡が来てここを売却したいんだけどいい人紹介してくれないか?という相談をいただき「それだったら僕が買いますよ。」っていう話で。お互いに良く知りあっている仲なので、そのまま契約を結び現在に至ります。そして実際に私が運営を引き継ぎ開業したのが2014年12月からというわけです。

―――――薬剤師としての理念、そしてご自身の強みをお伺いできますか?
先ほどもお話したように私は血友病です。血友病とは、止血をするために必要となる遺伝子に欠損がある病気です。そもそも止血する際には第Ⅷ因子、第Ⅸ因子というものが必要となるのですが、私の場合は第Ⅷ因子が不足しています。そうするとひどい出血をすると止血が不十分となり場合によっては命に関わるような状態になることもあります。今では良い薬もたくさんあるので日常生活であれば全く問題なく生活できますが、小さいときは体育は禁止されていたため運動会や遠足は参加出来なくてとても寂しい想いをしました。そのような中、幸いにも友達には恵まれていたので、みんなにはとても助けていただきました。しかし、人間って助けてもらってばかりだと自分の存在意義とか価値とか見えなくなってきてしまうこともありました。やはり周りにも何かしてあげることで自分の自信につながったり、ありがとうと言ってもらえることで幸せな気持ちになるのだと思います。それが少なく一方的に助けてもらってばかりだと自信がなくなってしまうのです。よってボッチャのチームもそうですが、自分の出来る範囲内において最大の挑戦を出来る場を作りたいと思っています。薬剤師としてそのような方々をサポートしていけるようになっていきたいと思います。そのようなことを継続していければみんなそれぞれが自信を持って楽しく生きていけるのではないかな?と思います。

―――――くじけたことなかったのですか?
もちろんくじけたことはあります。涙を流したり、悔しい思いをしたり、これまでいろいろ経験してきましたが、大人になったら自分の夢や目標が必ず実現すると信じてやってきました。僕の場合体が弱かったのでそれが大きなハンデキャップとなりましたが、みんなが完璧な状態で夢を実現できるわけではありません。しかし、自分の可能性を信じ、あきらめずに挑戦を続けていれば必ずそれは成就するのかなと思います。そのような方々が増えればもっといい日本になるのかなと。

―――――血友病というのは治る病気なのですか?
今の医療では治らないですね。薬を使ってコントロールするだけですね。

―――――ずっと病気とお付き合いしながら?
そうですね。病気と付き合うっていうのも勉強できたかなと思っています。患者さんの中には、今の医療をもっても治らない病気だと悩んでらっしゃる方も多いのですが、病気と付き合うようにすると楽になることもあると思っています。

―――――強くなれそうですね。
強くなれるというか気が楽になると思っています。病気になると相応の苦しみがあるとは思います。しかし、苦しいことだけを着目して考え込んでしまうと本当に何もできなくなったり、その思いに押しつぶされてしまう感じになるかと思います。しかし、治らないということも受け入れて病気と正面から付き合うようにすると気持ちが少しずつでも楽になっていくかと思います。そのうち自分が挑戦できることなどが見えてきたりして楽しくなってくるかと僕は思っています。

―――――アスリートの方は、梅原さんの傍にいたら結果が出せそうな気がします。
楽しいかもしれないですね(笑)パラリンピックなどを目指している方々は自らを高めることのできるプロフェッショナルだと思っています。そのような方々と一緒に活動することはお互いを高めていくことのできるとても良い機会だと思います。

―――――今後患者さんに求められる薬局、薬剤師はどうなっていく方がいいと思われますか?
薬剤師はもっと専門性を高めた方がいいのではないかと思います。先ほどお話ししたスポーツファーマシストのように、それぞれの分野において専門性をしっかり伸ばせるような薬剤師が増えたらいいのかなと思います。
その上でその専門性をしっかり情報発信できれば、それぞれ悩みを持った患者さんはどの薬剤師に相談すればよいのかが分かるようになるかと思います。この積み重ねで患者さんに求められる薬剤師や薬局が増えていくのではないでしょうか?

―――――患者さんも多様化しているのですか?
患者さんは元々多様なグループだと思います。その多様なグループの中で薬剤師側が多様化してないので、画一的なサービスしか提供できていないのではないでしょうか?
医師も免許は一つですが、先生方はそれぞれの専門分野を伸ばされています。同様に薬剤師も自分がこれを極めるっていうものを作っていくと患者さんもそれぞれの専門家に相談するのではないでしょうか?薬局も同じようにオリジナリティを発信できれば患者さんに選ばれる薬局になると思います。

―――――これから求められる薬剤師さん、学生さんも含めてですけどかなり大きなスキルを手に入れないとダメですね。
そうですね。だから一生勉強でしょうね。

―――――継続できるコツは?
継続できるコツは・・・、バカになることかな(笑)

―――――バカになることなのですね(笑)具体的な深いお話を聞くともっと知りたくなるのですが、梅原さんの下で一緒に働くということになった時に薬剤師として学べることそして人として成長できること、それぞれアピールポイントみたいのがあったらお聞かせください。
この薬局を通していろいろな可能性に挑戦できることだと思います。
薬局だからとか薬剤師だからとかという固定観念はあまり好きではないので、世の中のみんながより良くなるために出来ることがあり、それに向かって挑戦したいという方がいらっしゃれば全力でサポートします!!

―――――くぬぎだ薬局様が求める薬剤師像はございますか?
目標に向かって活動を継続できる方です。目標や夢を打ち立てるのは比較的簡単なことだと思います。しかし、それに向かって活動を継続するというのは苦しくなる瞬間も多いかと思います。それでも挑戦を続けたいという強い思いをお持ちの方であればうちで勤務するかしないかに関わらず一緒にやっていきたいなと思っています。

―――――興味ある学生さんとかもいるかもしれませんね。
そうですね。まずはボッチャの練習会や料理教室などに来ていただければいいのかなと思います。一度来たら逃がさないとかではありませんから(笑)とりあえず体験していただき、合うようであれば続けてもらえればいいし、そうでなければそれはそれでO.K.なので。
お気軽にお越しいただければと思います。

―――――ありがとうございました。

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