きずな薬局(神奈川県足柄上郡開成町)

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また、夢を持つ薬剤師を応援する薬局経営者も紹介をしていきたいと考えています。
志の高い薬局を中心に、素敵な薬剤師になれる。人としての成長ができる。そんな薬局をフリー薬剤師.comでは
インタビュー形式で紹介をしていきます。
共感・共鳴できた薬局には勇気をもって一歩踏み出してみてください。小さな一歩が人生を変えるきっかけになると思います。今回、神奈川県足柄上郡開成町にある”きずな薬局”の漆畑俊哉さんに取材しましたので、夢を叶えたい薬剤師さんにとって素敵なベンチャー企業と感じて頂けたら嬉しいです。

漆畑俊哉さん(なかいまち薬局)の前回の取材記事はこちら

_____本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願い致します。

_____早速ですが、一つめの質問です。きずな薬局様を起ち上げられた経緯。また薬局の特徴についてお話をお伺いさせてください。

きずな薬局は2018年10月にここ足柄上郡開成町でオープンしました。
きっかけは、本店であるなかいまち薬局で行っていた訪問先の施設様からでした。
開成町で事業を新たに行う上で、地域包括ケアの実現を行いたいので、是非当社に参入してほしいとご依頼頂き、オープンする運びとなりました。

きずな薬局がある建物は「サウスポート」と名付けられています。「開成町“みなみ”」という住所において、“港”のように地域を明るく照らし続けるという願いが込められているそうです。
実際に、医療・介護だけでなく、教育・福祉にも注力しており、国が提唱する地域包括ケアシステムをワンストップで実現しています。

1階にはクリニックや薬局だけでなく、訪問看護ステーション、カフェや美容室などがあります。これらは、いつでも誰でも、利用できるような地域の方にとって、くらしの一部として使っていただけるような設備となっています。
2階には神奈川県西部初となる自費による脳梗塞リハビリセンター、病児保育、小児向け学習塾などが入っています。
さらに3階以上は住宅型有料老人ホームとなっています。

_____一つのビルに全てが揃っている集合体ですね。

そうですね。集合体として全てが揃っていて、「住み慣れた街で最期まで」ということに大きい意味があると思います。きずな薬局だけでなく施設全体を通じて、子どもからお年寄りまで是非多くの方に使って頂きたいと願っています。

_____そうしますと、薬局に来られる患者さんというのはご家族のケースもあるのですね。

はい、病児保育のような乳児から、お看取りが可能な老人ホームまでがひとつになっているサービスは他にはない例だと思います。お見舞いのご家族から、日常でのカフェ利用、検診・診察・治療まで、等多岐に渡るニーズ対応が望めます。
その中できずな薬局は、地域の方の健康増進・予防の観点からアプローチすることが使命だととらえております。

_____年齢層の幅が広いということは、薬の品目数も多いのですか?

きずな薬局は、土日を平日と同様に営業しており、小児用薬から生活習慣病薬まで幅広く在庫しております。また在宅医療も積極的に取り組んでおり、散剤や外用剤も徐々に品目数が増えて参りました。
ジェネリック医薬品の使用率は90%前後となっており、今後も患者様へ提案できる備蓄数を拡大していく予定です。

_____本当にのどかな場所ですね。街のことについて少しお聞きしたいのですが、開成駅からきずな薬局さんに来るまでに気づいたのですが、街並みが綺麗に区画整理されているなという印象なのですが、漆畑社長がここで薬局を開こうとした時には、既に綺麗な街並みだったのでしょうか?

ここ足柄上郡開成町は、2016年頃から急激に整備されて参りました。実はこの建物ができる前はすべて田んぼだったそうです。本当にこのようなモダンな街並みのイメージは想像つかなかったですね(笑)
少し話題が逸れますが、開成町のコンセプトは「田舎モダン」というテーマだそうです。古き良き田園風景とニュータウンな街並みが美しいところだと思います。少し山間に入れば蛍も見ることができます。田舎ってこうだったな、と思わせてくれる環境です。半面、例えば富士フイルムの先進研究所が近代的にそびえていることも地元では有名です。このように両面の街の良さがあります。
何と言っても新しく分譲された土地が多く、若いご夫婦やお子様をたくさんお見かけします。患者様のお話を聞けば「綺麗で住みやすそう」、「小学校が新しく開校したから」など、最近の子育て世代にとって好条件だったことが伺えました。
国による人口調査によると、開成町は神奈川県下でも数少ない人口増加エリアということが分かりました。神奈川県もこのように地方の小さな町がモデルケースとなり、特に若年層の人口増加が見込める場所に大きな期待があるものと聞いています。そんな開成町に「住み慣れた街で最期まで」という大きなテーマが加われば、子どもだけでなく、お年寄りも安心してくらせる町となるとイメージしています。

現在、看板も出しているのですが、ビルの外観を見ても何の建物かわかりにくいというご意見もよくお聞きします。建物が近代的過ぎて、普通利用の方が入っていってもいいのか戸惑ってしまうそうです。もっと気軽に利用できるように、きずな薬局が身近な存在であることを周知できるといいなと思っています。

_____そうなんですね。でも間違いなく人口は増加していると思いますので、口コミなどで周知される可能性が高いかもしれないですね。

そうですね。口コミに敵うものはありません。一人でも多くの方にとって、きずな薬局がここにあって良かったと言って頂けるような場所を創っていきたいです。
医薬品の供給も重要な任務ですが、まずは健康について興味がある方々に知って頂きたいですね。予防や健康増進、そして在宅医療へ、というビジョンを持って取り組んでいます。

_____ありがとうございます。2つ目の質問です。
前回の取材から変わった点、また変わらない点についてお伺いできますでしょうか。

まず変わったと思う点から考察してみますと、第一に社員との向き合い方が変わりました。
過去に薬局を経営していて非常に大変な時期がありました。明日存続するために、今日売り上げを上げなくては!と本当に必死なことも経験しました。同時に過酷な環境になった肝心な時、社員がついてきてくれないこともありました。なぜなのかと悩んだこともあります。しかし本当にシンプルなことで一定の方向性を導くことができたことは近年の変化です。
当時は本気でぶつかることを避けてしまい、同じゴールを目指そうとするビジョンの共有が十分にできていなかったのではないかと振り返ります。「とにかく穏便に働いてもらう」、これではどうにもならなかったと思います。時間の問題で目標を失い、モチベーションが低下します。
そこで私は自らの失敗談をあえて社員に伝え、できるだけ接触の機会を増やすことから始めました。また、全社員が集まる機会を必ず半期ごとに設け、現在の情熱について丁寧に伝えることを続けました。
そのおかげで、今では社員1人1人と本気で向き合える環境が少しずつですが形になってきたと思います。また採用試験においても、その方の「本気」度にアタックすることを必須としたところ、強い情熱を持った社員を採用できるようになりました。

第二に、薬剤師の専門性をいかにして患者様へ向けて発揮するか、に着眼したことです。
薬を渡した後に患者さんがどのように変化したかを、薬剤師が継続的に把握し、それを医師や家族に情報提供するという基本的スタンスを大切にしています。この実践を社内に少しずつ定着させてきていることが、大きなポイントになっています。具体的に挙げると、お薬を渡した患者様がきちんと飲めたか、薬が正しく効いたか、その症状は副作用ではないか、改めて十分に考えるようになりました。ただよく考えれば、薬剤師としては当然の任務であることを認識しました。
薬剤師の「しなくてはならないこと」とは服用薬剤の評価を行い、患者様の「健康を改善もしくは未然に予防する」ことです。
決して、「薬をわたすこと」がゴールではないことにやっと気づくことができました。

しかし、今まで「渡すまで」を大事にしてきた調剤薬局の業務フローを大きく変えることは容易なことではありません。また薬剤師が「対人」「対物」すべての業務を行っていくことは現実的に不可能であることは明らかです。そこでまず業務の整理を行い、薬剤師でなくても可能な業務を見分けるところからスタートしました。現在、大まかな業務の棚卸が完了し、各業務フローを見直しているところです。さらに調剤事務の方へこれらの考え方や実践について重点的に研修を行っております。彼らもまた医療に携わる一員として、しっかりとした働きがいを与えられるよう教育しています。

変わらない点としては、当社の企業理念でもある「健康なくらしの相談所」として機能するために、患者様に対して最も親身で、身近な存在を目指していることです。
ここでも重要なポイントは、私たちの任務は薬を渡すことではなく、その患者様が健康になるために本気で関わっていく姿勢であると確信しています。この点については、大手チェーンにはなく中小薬局だからこそ可能な情熱が欠かせません。「心の隙間を埋めるスキル」や「最期まで最大限寄り添えるスキル」というような、感情的に訴える部分は当社において重要な要素であると考えています。

採用において、これらのポイントを常にお示しするようにしていますが、「この会社ハードルが高いのではないか?」など思われるケースが少なくありません。ですが、実際は特別なマインドや技術は一切求めていません。医療者としてどう行動するかという目標設定が重要になります。「なぜ薬剤師に(なって)なりたくて、結果なにを提供したいのか」というテーマがとても大切です。ご興味がある方は、是非一度、弊社の見学やインターンシップに参加して頂き、体験して頂きたいと思います。
実際に体験される実務実習生からは、「患者さんと向き合えている実感がある」「在宅医療での働き方がよくわかった」など、ありがたいご意見をいただいています。地元・地域に貢献したい方は非常にマッチすると思います。

_____取り組みを患者さんに伝えるのも難しいですよね。

簡単ではないと思います。今までの国民の薬局に対するイメージは「くすりの受け渡し所」になっていますから、払しょくすることは容易ではありません。
私たち薬局では健康に対して積極的に提案していることを理解して頂くまでに、当然の時間が掛かると思っています。しかし、地域に密着した地道な活動は次第に大きな波となって、地域をも変化させると確信します。私たちができることから、着実に実践していきたいと思います。

_____ありがとうございます。続いての質問です。きずな薬局さんが現在注力されている、取り組まれていることについてお聞かせいただけますでしょうか。

現在最も注力しているひとつに、健康イベントが挙げられます。
具体的には、血圧測定会、未病相談会、子ども体験薬局などを随時開催しています。今後はさらに拡充し、OTC説明会や管理栄養士による栄養相談会、サプリメント講習会を企画しております。
私たち自身も驚いているのは、患者様が持っている「健康に対する意識の高さ」です。「できるだけ薬を飲まないようにどうやって生活を変えたら良いか」、「病気になりにくいからだづくりはどのようにしたらいいか」、私たちも勉強になるほど熱心であることがわかりました。
今までは、関わりが「薬」しかありませんでしたから、これは大きな発見でした。

_____そうなんですね、逆に都心部との違いとして患者さんとの距離がいい意味で近いなという印象を持ちました。気軽に気さくにお話ができるという環境がありそうなイメージなのですが、いかがですか?

私たちはアットホーム感を大切にしています。これは地域の薬局が提案できるサービスの一つの方法だと思っています。最近はIT機器の発達により、患者様とネット上でのつながりを持つことも可能となりました。それらの知恵を活用することも重要ですが、なによりも患者様にとって身近であるべきだと考えています。Face to Faceで、患者さんの生活に密着した薬局こそ本来の在り方ではないかなと考えています。

_____複数の薬局を経営されていて、多くの薬剤師に出会ってきた漆畑さんにお聞きしたいのですが、漆畑さんにとっての「薬剤師とは?」を教えていただけますか?

非常に難しい質問です(笑)。
薬剤師と一口にいっても、様々な働き方があることは皆さんもご存じの通りです。実際に私も薬局薬剤師だけではなく、病院・企業・行政・ヘルス&ビューティー・学術など、多種多様に活躍されているたくさんの薬剤師の先生方と出会って参りました。
色々な考え方があるかと思いますが一つの共通項は、「薬学を生かしている」ことではないでしょうか。
例えば薬局薬剤師に焦点を当ててみれば、やはり薬理学・製剤学・薬物動態学といった専門性が大切になるのではないかという話を前述致しました。これは新しい考え方を生み出す必要があるのではなく、薬剤師が元来持っている学びの原点に立ち返るだけと思います。
―「国民の健康を確保する」ために、準備として正しい「知識」「技能」「態度」を身に付け、「医療の担い手」として免許にかけた責任を持てる方が薬剤師であること―
こんなことが、幅広い方に対して認識してもらえたらいいなと思っています。

_____現場で発揮して欲しいという想いを受け取ると、色々とチャレンジできそうな薬局なんですね。

大切なことは、ゴールは患者様の健康に貢献するという点ですね。様々なチャレンジすることや専門性を発揮することは目的ではなく、あくまで過程です。結果的にチャレンジが必要になる局面もありますから、その時は会社で一丸となって取り組めたらと思います。
薬剤師は学ぶこと自体、非常に得意としていると思っています。半面、一体何のために努力しているのかわからなくなってしまう場合があります。これは決してその方が悪いわけではありません。薬剤師が本来持っているはずの学術的側面を発揮させずに、その場の作業をいかに「早く」「正しく」「たくさん」行うかで勝負してきた時代背景から、そのような性質になりやすいのだと考えます。これは例えるなら「調剤ロボット」のようです。近年、発達してきているIT機器の精確性・安定性・コスト面からも見てわかるように、この領域では活躍は望めないことを示しているのではないかと思います。
薬剤師でなければできないことは何かを、一緒に考える時間も大切にしたい薬局です。

_____薬剤師の中でも競争原理が働いているんですね。ということは漆畑さんの薬局には本物の薬剤師しかいないということですね?

たしかに、薬剤師業界全体で少しずつムーブメントが起きているということを実感しています。
世間では昨今の調剤バッシングなどもあり、今後の薬局の在り方が大きな問題として問われていることかと思います。私たちは、今までの薬局概念にとらわれることなく、成長しあえる環境づくりを目指しています。
「本物の薬剤師」とは非常に難しい質問ですね(笑)。これについては皆さんが理想とする薬剤師像があるかと思います。当社では薬剤師以外のスタッフの活躍も欠かすことはできません。そういう観点で言えば、スタッフ全員が「患者様に寄り添いたい」と一丸になっている点で共通した強みがあると確信しています。
患者様から選んで頂ける薬局になるために、常に前に進む力で地域医療を良くしていきたいと願っています。

_____最後に、きずな薬局さんに興味を持たれた薬剤師に向けて一言いただけますか。

本当の地域密着型薬局を共に創って行きましょう!
これから活躍される世代のスタッフが、真剣に地域の薬学を変えようとしています。
「良く遊び、良く学べ」、業務はプライドと覚悟を持って。プライベートはお互い笑い合って。
ハツラツと明日を迎えられる薬局をつくるために本気で取り組んでいる会社です。
「他の誰かのために120%の力を出せる」そんな薬局を目指しています。
是非お気軽にお問い合わせください!

(インタビュー:編集部)

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